Anekdoten/Until All The Ghosts Are Gone(2015)
スウェーデンのアネクドテン、2015年リリースの最新作。
前作より8年越しのリリースということも示しているように、クリムゾン系の音像ってオリジナリティとか、曲のバラエティを出すのって案外難しい。そんなバンドの最新作は十分なオリジナリティを獲得し、バンドとしての進化を前面に押し出すものとなっている。
KScope的アトモスフィア+プログレ的大曲の構築美という構図を基本としつつ、キモでメロトロンやヘヴィネスを欠かさない。まさに「ツボをおさえた」というような巧みな曲展開を見せている。
以前よりもテクニカルでスマートさを増した音のためか、以前のアネクドテンらしくない音だとか、あるいは受け付けないという感想もみられる。内面の凶暴さやラウドネスと同居していた粗っぽさもなりを潜め、「よくできた」感触の一枚である。良くも悪くもKScopeの洗礼を受けているといったところでしょうか。
あくまで既往のファンによる感想がこんな感じのところというだけで、バンドディスコグラフィからいえば一皮むけたといってよい作品。大雑把にいって、1st,2ndのクリムゾン系路線と、3rd以降の静謐スペースロックとの折衷、および昇華を果たしてみせている。
筆者としてはアネクドテンの演奏力や曲の構築力はプログレバンドとしては決して高くないという印象を持っていたものの、本作の#1 Shooting Starや#3 If It All Comes Down To Youなどはプログレ的魔法(≒ワクワク感)すら感じる。バンド史上No.1傑作と断言はできないが、ものすごい作品であることは間違いがない。