mouth / Vortex(2017)
オルガン系プログレ・ハードロックバンドmouth
現代のドイツのバンドです。
#1の"vortex"が本作の白眉だと思うが、ユーライア・ヒープの6月の朝をピッチ変えてダウナーにしたみたいなリフをしている。後作のfloatingというアルバムでは"homagatago"という曲でCan的なハンマービートをやってたり、割と元ネタであることをあからさまにする傾向がここで出ている。
元ネタが丸出しなところは多分オマージュ的なセンスでやっていて、聴いている人をニヤッとさせたいんだろう。今作については「俺たちはユーライア・ヒープが好きだからこの感じでやるんだぜ!」という宣言ととってよい。まあそう言っても全体としてはヴィンテージ趣味を出した70年代プログレ風の好盤です。全体的にメロディセンスが良いのだと思うけど、耳に残りやすいフレーズが多く、とても聴きやすいのがすばらしい。
#2は同郷のクラウトロックからの影響が強いノイズ・SE的なキーボードワークを見せつつも,#3"parade"ではオルガンと歌メロの組み合わせ、ユーライア・ヒープへの愛を叫んでいる。3曲目は歌メロが結構好きで耳に残る。
#4"moutain"はZeppの3rdのFriendsみたいな不協和音系アコギとコーラスが気持ち良い。ヴォーカルは靄がかっていて、#3が明るめのハードロックだったあとではちょっと落差は否めない。曲自体はこれも好き。
#5"into the lignt"ドライブするベースとオルガンの掛け合いがスリリング。ギターは時々アクセントのようにオブリガート、ヴォーカルは時々ファルセット。ヘッドホンのせいかもしれないが、ドラムの音に比べてベースの音がだいぶデカい気がする。
小曲#6、不穏なリフレインが耳に残る。メロトロン?をフィーチャーした間奏部分をはさみ、最終的に始めのリフに戻る、#7への完璧なお膳立て
#7"epilogue"リリシズムに溢れた呟き気味の歌唱と、神聖なオルガンのコンビによる大円団。終わりか。。?と思うとボーナストラック的な、もしくはストロベリーフィールズフォーエバー的なノリで曲が戻ってくる。ここでクラウトロック魂が炸裂してしまい、延々と終わらないリフレインが繰り返される。
ほんの少しずつ盛り上がりを見せ、トランス状態に導入するようなリフレインではあるが、ここに関しては#6の流れを踏襲して、たるまずに締めた方がよかったのではないか?と唯一思ってしまう箇所だった。
シタール?をフィーチャーし、最初のリフレインをインド方面から帰還させる。このパートも彼らのメロディセンスでうまくまとめられている分、中間部の中だるみが勿体無く感じられてしまう。超惜しいと思います。
あとバンド名が普遍的すぎて、検索社会の現代ではディスアドバンテージ背負っているのももったいないと思う。もっと人気出てもいいんでは