メビウスの惑星

雑食性消費者の宇宙遭難日記です。プログレ入門者

【音楽レビュー】Sunn O))) - Pyroclasts(2019)

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Go buck to the "ELEMENT"

Sunn O)))、アメリカ合衆国ドゥーム・メタル、もしくはノイズ・アンビエント集団。9枚目に当たるスタジオアルバム。前作"Life Metal"から半年という短期間で発売されている。

とにかく爆音の持続音を11分鳴らし続ける曲が4曲収録されている。旋律という観点を捨て、単音の積み重ね、重ね合わせによって音壁を建立させる。プリミティブだという感想が頭をよぎるが、これは原初の音楽のようだという意味ではない。音が脳内に結びあげる像は雄大大自然へと直結している。すなわち生命が生まれるよりも遙か前から存在している自然界の構成要素そのものを表現している音楽だと思うのである。スタジオ内にうず高く積まれているであろうアンプから出力された轟音が、空間を伝い対岸にあるもう一本のギターの弦と共振して連鎖していく。空気を媒介とした音波と言うメディアが、より物質的な意味で強固に相互の存在を結び付け、関係付けさせている、その説得力。それは大地、岩盤、地震、溶岩、また噴火といったイメージに自然と合致してくる。大自然のエネルギー、力強さである。このようなイメージとSunn O)))日課となっていたセッションの工程を重ね合わせれば、そこから産まれた本作が"火砕砕屑岩"と言う名を享けていることにも自然と納得がいくようだ。

プリミティブなエレメントを表現するが故に、ある種の無国籍感を内包しているのも面白い。雄大なものや、歴史あるものとの親和性を感じるが、個人的には日本の宗教、神社仏閣をなぜか連想してしまった。瞑想音楽のようだなと言う感想から飛んで出たものかもしれない。是非日本の寺社仏閣でライブして欲しい。

個人的なフェイバリットをあげるとすれば#1 Frost(C)だろうか。荘厳さ、気高さ、美しさなどが洪水のように押し寄せてきて昇天する。ちなみに全ての曲に(C)とか(G)とかアルファベットが付されているのだが、もしかしてこれはコードでしょうか。私はCコードが好きだという話をしていたということなのですか。

  

Sunn O)))も長いキャリアを通じてその音楽性も変化を遂げてきた。5thアルバム"Black One"の頃はブラックメタルとのクロスオーヴァーを通じ精神的にも物理的にも危険極まりない、殺人的な音楽で数多のリスナーを驚天動地させた。しかし時の流れによってグレッグ・アンダーソンは父になり、今作は圧倒的なリラクゼーション効果をもたらす音楽へと変貌したのだ。これは多幸感、いや一種のエクスタシーといっても良いシロモノなのだが、最早これは健康に効くということに筆者は気付きました。そこで、、

Sunn O)))健康法のススメ

個人的なSunn O)))健康法のススメだが、スーパー銭湯→サウナ→仮眠室→Sunn O)))です。半睡状態で仮眠室に寝そべっているときに完全にキマります。ストレスが溶けるようだ…。Sunn O)))にここまで生命エネルギーを貰うとは思いませんでしたね。是非お試しあれ。