Number Girl@日比谷野外音楽堂2019
私は1996年生まれですので、Number Girlが結成されてから解散するまでの間、一度たりともその名を聴いたことはありません。
そしてNumber Girlを初めて知ったのがいつなのか、何から入ったのか、はっきりと覚えてはいません。
中学の時分通っていた個別指導塾の講師O先生は当時のライブに参加したような熱量でNumber Girlを語ってくれたのを覚えていますが、その時私が脳内に浮かべていたのはYoutubeでみたラストライブのOmoide In My Headの映像でした。
つまり私にとってNumber Girlというのは、その音楽の良さとは全く別の次元において、歴史上のバンド以上以下の存在ではありません。
私がYoutubeのライブ動画から観客の並々ならぬ熱量を貰い受けたとしても、ある種バーチャルな、十年余の時差ある感情に過ぎなかった訳です。
NUMBER GIRL - OMOIDE IN MY HEAD (last live, last song)
つまり再結成に対する私の感情はある種「人ごと」にならざるを得ません。喜ぶことは出来ても往時を目にしていないものには実感が伴わないからです。
ライブが始まった時に感じたことを率直に述べるならば、「Number Girlが姿を見せてくれ(るような事態になっ)たのだ」という感じがいたしました。また不思議とZazen Boysのライブで既に目にしていた向井秀徳は別人のような印象でした。
そして、ここに初めて私の中の"Number Girl"が「始まった」のだと、そう感じました。
「大当たりの季節」から始まった彼らのライブ演奏は、驚くべきことに音源そのままの音を鳴らしていました。向井秀徳は事前のインタビューか何かで我々も歳をそれなりにとったというようなことを発言していたような記憶がありますが、それぞれアーティストとして得たものこそあれ、失ったものは少なかったのではないかというように私は感じます。
続く「鉄風鋭くなって」では一気に会場のヴォルテージが上がり、私も興奮抑えやらぬ状況になっていました。この辺りからライブを通じて理解していったことがあり、それは中尾憲太郎のベースの異常なほどカッコ良さ。ギターのようにダウンピッキングするそのスタイルは向井や田渕がギターを持ったSAMURAIにみえてくるのと全く同じ様でした。これベースというよりダウンチューニングした低音のギターみたいなものとしか思えません。同時にある意味一人でリズム隊を支えるアヒト・イナザワのその凄まじさもみえてくるようです。
曲についてはどれも素晴らしかったですが、いちいち書こうとは思いません。印象深かったのは"Young Girl Seventeen Sexually Knowing"、野外音楽堂の空天井が丁度夕暮と太陽が沈み切る間に少しテンポを落として歌われたこの曲は、時間と場所と記憶を貫通して私の心に突き刺さり続けると思います。
意外だったのはライブ映像をよく観ていたためか、会場の曲に合わせたコールに初見で対応できたこと。往時は知らねど、息のあった会場の雰囲気に一層テンションがうなぎ登りしました。
また個人的なフェイバリットである"SAPPUKEI"から"SASU-YOU"と"TATOOあり"と"U-REI"が連チャンで歌われたのも嬉しかったですね。少し残念だった点としては”EIGHT BEATER”を歌う頃にはシャウトがややキツそうだったことか。(アンコール登場時には「ぶっ倒れそうですけども」といっていたしギリギリだったのだろう)
あと"桜のダンス"、"Tombo The Electric Bloodred"、"INUZINI"、”BRUTAL NUMBER GIRL”など聴きたかった曲がまだまだあったこと、これに関しては次のライブも発表されていますから、「逆噴射バンド」応募していけばそのうち叶うと思っております。というかライブ終了した時点でまたNumber Girlが見たくなっていたのも事実です。
公式ライブ情報:https://numbergirl.com/live
また新たに始まったNumber Girlの歴史を、この都度は実感をもって追いかけていくということが私の今後の大きな楽しみの1つとなった日でした。