メビウスの惑星

雑食性消費者の宇宙遭難日記です。プログレ入門者

Suchmos - The Anymal(2019)

f:id:geeked:20190711132416j:plain

 

間が空きすぎました。

そして久々でちょっと意外なチョイスです、Suchmos

 

Stay Tuneで一世を風靡して,NHKのタイアップもゲットしたSuchmos。その曲"VOLT-AGE"からは「アレ?何だろうこの盛り上がらん感」みたいな違和感がありました。紅白のパフォーマンスもいろんな意味でヤバかった記憶。


Suchmos 「VOLT-AGE」2018.11.25 Live at YOKOHAMA ARENA

 

言うなればこの頃からあった兆候が爆発しているのが本作。

 

これが度肝を抜くような6-70年代サイケデリックロックまんま

 


Suchmos "In The Zoo" (Official Music Video)

 

散々言われてることだろうけど「広くて浅いやつもうGood Night」と歌った彼らが全力で広くて浅いやつらを吹っ飛ばしにきてる。それくらいぶっ飛んでる。これまでとは感性の方向が270度くらい違うし、もはや別バンドやろ。

 

しかし私はこのアルバムを貶めたいのではない、それどころか本作は素晴らしい作品だと賞賛したいのです。

 

本作の方針は"VOLT-AGE"あたりから漂っていた「やりたいことをやる」という方針の極地でしょう。やりたいことに全振りしているからこそ、完成度がメチャクチャ高い。私の貧相な知識だとパッと喩えられないけど、ダウナーなサイケデリックロックに初期のハードロックの成分を足したような、ブルースみたいな感じって言ってもいいのかな。The Beatlesなどを含む6-70年代ロックへのリスペクト−

それと同時に古き良きとも言える音楽を再興して現代という時代性をも巻き込まんとするオリジナリティと気概を感じずにはいられません。

 

要するに

「この現代の、しかも日本という音楽シーンで、大衆の支持を得てきたバンドが突然変異して質の高い70年代サイケデリックロックをやる」

 という流れは面白くてしょうがないのです。

 

これは単純なリバイバルに留まりません。現在のシーンを無視したのではなく、むしろ停滞気味の邦楽シーンに対する痛烈な批判とも受け取ることが出来るからです。

 

本作が邦楽シーンにどのような影響を与えていくのか、また世間にどう受け入れられていくのか…。

 

とまあちょっと規模の大きいことを書きたくなって書いてしまいましたが、

 

普段洋楽しか聴かないような方や、本ブログで取り上げているような音楽を射程としている方にこそ、聴いてみて欲しい作品だと僕は思います。

 

期待に応えるだけの十分な強度が本作にはあります。

 

その一方でシティ・ポップなどとしてハマってきたファンを洋楽に繋げて行くような橋渡しの役割も果たしていて、本当に面白いなあと思います。

 

My Favorite

#3 In The Zoo

イントロギターが最高。暗くてしっとりとしたアイロニーに心地良さを感じずにはいられないタチなんでしょう。

#5 Indigo Blues

 イントロの長いタメからジャキジャキしたギター、ネットリと支えるベース、リンゴ・スターのようなヘタウマドラム、そしてYONCEのファルセットとコーラスが気持ち良い。最後の転調で視界が開けるようにビートリッシュな展開に入るのも最高です。

【メーカー特典あり】 THE ANYMAL (完全生産限定盤) (LP) (ステッカー付) [Analog]

【メーカー特典あり】 THE ANYMAL (完全生産限定盤) (LP) (ステッカー付) [Analog]